お試し婚のはずが、いつの間にか溺愛されています!~二度も婚約破棄された外科医は受付事務員に愛を捧ぐ~
「なんだ、残念」
「極端すぎます……」
 私は深く息を吐いたが、城高山先生は笑っている。
 もしかしたら、からかわれた……?

「二人きりだとしても、あくまでも自然でいましょう」
「恋愛って、難しいな」
 ぽつりと漏らされた本音に、胸がくすぐったくなった。
 別れ際にプライベートのスマホの連絡先を交換した。

 その日の帰り道。
 残業を終えて、外に出ようとしたら急な雨が降ってきた。
 ……すると、城高山先生から連絡が入り、駅まで送っていくと言われた。
「ありがとうございます。傘を持っていなかったので、助かりました」
「いや……帰ろうとしたら、上階の窓から勝浦さんの姿が見えたから」
「え?」
 一体どこから?
「六階の病棟に居て、たまたま外を見たら勝浦さんが目に入った。そしたら雨が降ってきたんだ。ある意味、勝浦さんハンターだよね」
「……いや、そのハンターはあんまり嬉しくないですね」
「……」

 自分が思っているよりも、城高山先生は私を見ている。
 無言になってしまって、気まずい。
 そう思った瞬間、彼が急に話し出した。

「このあと、食事に誘った方が自然か?」
「どうして聞くんですか? スマートに誘ってくれたら嬉し……」
 思わず突っ込みそうになるが、慌てて口を抑えた。

「こんな時は勝浦さんは食事に誘ってもらいたい、……と記憶しておく」
「ち、違います! 一般論を口に出しただけで」
 ため息混じりに言いながらも、期待している私も居た。

「じゃあ、行こうよ。こないだは洋食だったから、今日は中華かなぁ?」
 城高山先生は中華だと勝手に決めて、自分のおすすめの店に案内すると言われた。
 おすすめの中華レストランの近くの駐車場に車を停める。車を降りる時も、ドアを開けてくれた。そして、「はい、どうぞ」と手を差し伸べてくれる。
「あ、ありがとうございます」
 私は手を伸ばすと、恐る恐る指先が触れる。
 エスコートなんてされたこともないので、胸が高鳴ってしまう。
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