地元なじみ。
夏期講習も終盤に差しかかった今日――私は教室の冷房に凍えている。
な、なんか……いつもより寒いような……
薄着すぎたかな……先生に言えば早退もできるんだろうけど……苦手な図形だしちゃんと授業受けたいな。
気合を入れなおして、集中しようとノートを写し始める。
コツンーー
「あ、ごめん」
「……冷た」
気合を入れすぎたのか、早川くんと肘がぶつかってしまい、小声で謝る。……ん?冷たい?
なんとなく早川くんの視線を感じる気もするけれど、授業中だしひとまずは集中!
ぶつかったことを怒っているなら、またあとで謝ろうと思っていた時、早川くんが声を発した。
「せんせー、ちょっと寒いっす」
「あー確かにちょっと冷えてるか。温度上げるか」
先生がエアコンのボタンを押してくれて、少しずつ寒さがやわらいできた。
今度はわざと、コツンと早川くんに肘を当てる。
「ありがとう」
「俺が寒かったからだし」
「うん、でも私も助かったから」
「まだ冷たいけど」
「もう大丈夫、ありがとう」
お互い前のホワイトボードを見たまま、視線を合わせることなく小声で話す。
授業中で、前を見ていないといけなくてよかった。
顔を合わせていたら、照れくささや緊張で素直にお礼言えていたかわからなかったから。
結局帰ったあと、私は熱を出して寝込んでしまい、次の日から3日間休んでいる間に夏期講習も終わってしまった。