御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで

 ◇

 急遽、新婚旅行へ行くことが決まってから、二週間後。

 私たちは新幹線とタクシーを乗り継ぎ、今日宿泊するというリゾートホテルにやってきた。
 リゾートホテルといってもフロントのようなものはなく、チェックインはすべてスマホでの操作だ。
 スマホでチェックインを済ませると、専用のアプリに鍵が送られてくる。
 その鍵をドアノブにかざすとそのまま部屋へ入れる仕組みになっていた。

「うわぁ……! すごいですね……!」

 扉を開けると、蓮さんの家に負けず劣らずの広い玄関が出迎えてくれる。
 木目のフローリングにあえて梁をつき出した内装は、空間に奥行きを出していた。

「景色も綺麗……」

 広いリビングの奥には美しい景色が広がっている。
 緑の瑞々しさが美しく、耳を澄ませば鳥のさえずりさえも聞こえてきそうなほど静かな自然の中だ。

 あまりにも広いリビングに忙しなく視線を動かしながら、テーブルの上にあるウェルカムドリンクに目を向ける。
 その横にはスタッフからのメッセージカードも添えられている。

 ――どうぞ、素敵な時間をお過ごしください。

 丁寧に書かれたメッセージカードからも、ホテルのホスピタリティを感じる。

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