御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで

 ――見苦しいものを見せちゃったかも。

 そんなつもりはなかったけれど、浴衣なのでどうしたって服よりも首元がゆったりになる。

 私は洗面所に戻って髪を乾かすと、冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出した。

 ちなみに、冷蔵庫の中のものは自由に飲んでいいらしく、横にはワインセラーまで備え付けられている。
 ビールやジュース、果てはアイスまで完備されていて、まさに至れり尽くせりだった。

「さっき、夕飯を呼んでおいたから」
「ありがとうございます」
「三十分ぐらいかかるらしいから、俺も先に入ってくる」
「はい、ごゆっくり」

 ふいっとそっぽを向いて風呂場へ向かう蓮さんに胸が痛む。
 浮かれすぎちゃいけない、と気を引き締めると、リビングにある小上がりの和室に上がった。

 この部屋は和洋折衷の造りになっており、小上がりには畳が敷かれている。
 ここからでも景色が綺麗に見えるよう、窓際に場所を設けられていて、のんびりと足を伸ばしながらくつろぐことができた。

 ――贅沢すぎるなぁ。

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