御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
 それからの私は、どうやって家に帰ってきたのか覚えていなかった。
 とにかく、エコー写真は見つからないように鞄の奥底にしまった。
 家に帰ってからは具合が悪く見えないよう、また彼に妊娠していると悟られないよう、わざわざ化粧で血色を良くし、彼がいない間に家事を完璧に済ませた。

 それと同時に、荷造りの準備をした。

 私は妊娠が発覚してからの一週間、完璧にいつも通りであるフリをして、仕事へ行くと嘘をついて部屋に戻ると、必要なものを持って実家へ逃げ込んだ。



「はぁ……。久しぶりだぁ……」

 久しぶりの実家は、なんだか他人の家みたいだ。
 父と会うのは彼と顔合わせをして以来だから、会話をするのも半年ぶりである。
 父は突然帰ってきた私を見るなり、九条さんと喧嘩でもしたのか、と言って、喧嘩したのなら早く帰って仲直りをしなさいと見当違いなことを言った。

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