御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「知ってる」
「へ……?」
「だから、薄々そんな気はしてた」
こつんと額が合わさる。至近距離で見つめられて、そのまま優しく唇が重なった。
「な、……えっ、」
いまのキスの意味もわからないし、彼が知っていたという事実も飲み込めない。
はっ、えっ、と言葉にならない言葉を発する私に、蓮さんがおかしそうに笑った。
「体調が優れないのは知っていた。きっと、あのときだろ? タイミング的に新婚旅行のとき」
「……っ」
「それから何回かシたから、そのうちのどれかかもしれないけれど」
「いっ、いま、そういうことを恥ずかしげもなく言わないでください……!」
「ごめん。でも慌てる姿を見るのがおもしろくて、つい」
すりすりと頬を撫でられて、そっと唇を押し当てられる。
心底愛おしいといった目で見つめられて、私はますますわからなくなった。
「私、妊娠しちゃったんですよ?」
「そうだな」
「本物の妻じゃないのに」
「これからなればいい」
「それって、蓮さんにメリットありますか……?」
「ある。十分にある」
体を引き寄せられて、ぎゅうっと抱き締められる。
あやすようにぽんぽんと頭を撫でながら、彼が私の耳元に唇を寄せた。