御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「契約結婚なんて持ちかけたけど、本当は最初から千尋のことが好きだった」
「へ……?」
「俺の世界にはいないタイプの人だったから」
優しく髪をすかれる。彼は気まぐれに私の耳たぶに唇を押し付けると、穏やかな声で話し始めた。
「俺の周りは、金や権力目当てで近付いてくる人が大半だった。それが嫌で、九条グループから抜け出して会社も興した。それでもまだ九条の名がつきまとっていたときに、千尋と出会って癒されたんだ」
蓮さんと出会った当初、彼は見合い話を疎ましいと言っていた。むしろ、そのためにお飾り妻を欲しいのだとも言っていた。
パーティーを参加した時にも思ったけれど、彼の周りには純粋な好意や善意で近付いてくる人の他にも、機会があればお近づきになりたいという野心や願望を持った人たちの目にも晒されていた。
だから、彼がそれらの視線を煩わしく思うのも理解できた。
「いきなり結婚を申し出たら、断られるかもしれない。そう思って、条件を出しただけだよ。むしろ、千尋と本物の夫婦になれるなら、それ以上のことはない」
「ほ、本当に、そう思ってますか……? 私ばかり、蓮さんのことを好きでいなくても、いいってことですか……?」
「へ……?」
「俺の世界にはいないタイプの人だったから」
優しく髪をすかれる。彼は気まぐれに私の耳たぶに唇を押し付けると、穏やかな声で話し始めた。
「俺の周りは、金や権力目当てで近付いてくる人が大半だった。それが嫌で、九条グループから抜け出して会社も興した。それでもまだ九条の名がつきまとっていたときに、千尋と出会って癒されたんだ」
蓮さんと出会った当初、彼は見合い話を疎ましいと言っていた。むしろ、そのためにお飾り妻を欲しいのだとも言っていた。
パーティーを参加した時にも思ったけれど、彼の周りには純粋な好意や善意で近付いてくる人の他にも、機会があればお近づきになりたいという野心や願望を持った人たちの目にも晒されていた。
だから、彼がそれらの視線を煩わしく思うのも理解できた。
「いきなり結婚を申し出たら、断られるかもしれない。そう思って、条件を出しただけだよ。むしろ、千尋と本物の夫婦になれるなら、それ以上のことはない」
「ほ、本当に、そう思ってますか……? 私ばかり、蓮さんのことを好きでいなくても、いいってことですか……?」