御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「あの……! 今夜は二人で……寝ましょう……」
「……よかった。それなら安心だ」

 なにひとつ安心ではないけれど、彼が身体を痛めて床で眠ることはなくなった。
 あとは、私の心臓がどこまでもつかである。
 いまから緊張で眠れなさそうだと夜のことを思ってため息をつく。
 私は積み上がった段ボールに向かうと、手前のものから順番に空けていくことにした。

「私、荷物を片付けますね」
「わかった。書斎にいるから、何かあれば声をかけて」
「はい」

 ベッド問題はひとまず落ち着いたので、彼が部屋から出ていく。

 改めて用意された部屋を見ると、私が一人暮らしをしていたときの部屋よりも広い。
 ベッドこそフレームのみだけれど、ドレッサーや本棚といった必要な家具はすべて揃えられていた。
 リビングと同じ白を基調とした壁紙と床のタイルに可愛らしい家具は、私の好みにも合っている。
 大きなクローゼットも用意されていて、私が持ってきた服を詰め込んでもまだまだ入りそうだった。

 ――こんなに入れるものないのにな……。

 ひとつずつ段ボールを開封しながら、しかるべき場所に物をしまっていく。
 それほど荷物は多くなかったけれど夢中でやっていたらすっかり日が暮れてしまった。

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