御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「お腹すいたなぁ……」

 そろそろ夕飯の時間だ。そういえば、夕飯の用意はどうするのだろうかとリビングへ戻る。

 いくらお飾り妻だといっても、妻になった以上は私が家事をやるべきだろう。それに必要に応じて妻として振る舞うようにとも言われている。
 だけどリビングへ向かうと、既にダイニングテーブルには夕飯が用意されていた。

「これ……」

 二つのグラスを持った彼が、私を見るなりにこりと微笑む。
 グラスを置くと、どうぞ、と椅子を引いてくれた。

「あぁ、お疲れ。荷物整理は終わった?」
「はい。全部終わりました」
「そう、よかった。潰した段ボールはあとで片付けておくよ」
「ありがとうございます。それでこれは……」
「事前に買っておいたものを皿に持っただけだよ。料理はあまり得意ではないから」

 手作りじゃなくて申し訳ないと彼は言うけれど、買ってきたにしてはすごい量だ。
 デパートのお惣菜売り場で買ったものを皿に盛っただけとはいえ、サーモンのマリネやエビのカクテルサラダ、ローストビーフやスープ、パンが並ぶ。

 普段、自分では買うこともないので新鮮だった。

「普段、食事はどうされているんですか?」
「食事はぜんぶ買ってきている。あとは外で済ますか……」

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