御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
 カードを渡すと言われてぎょっとする。あとで立て替えるでも……と呟いたら、衣食住に関わることで私から金銭を求めることは一切ないと言われた。

「それだと、蓮さんにメリットがないんじゃ……?」
「大いにあるよ。千尋は好きにお金を使えて、俺は千尋の手料理を食べられる」
「釣り合っていないように思いますけど……」
「十分、釣り合ってるから問題ない」

 釣り合っていないし、問題だらけだ。
 だけど、それは私が頑張って家のことをすればいいだけでもある。
 あいにく、家事は得意だし好きだ。特に、料理は母の影響もあり好きだった。

「……わかりました。じゃあ、明日の夜から準備しますね」
「ありがとう、楽しみにしてる」

 本当に楽しみにしているのか、上機嫌な彼が可愛く思えてくる。

 残りの料理を時間をかけて食べ終えた私は、片付けはやっておくからと彼に風呂場へと追いやられる。
 そこでも庶民と富豪の差を見せつけられて、お風呂に入るだけでも緊張してしまった。

 ――足が伸ばせるどころか、二人で入っても大丈夫そうなんだけど……。

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