御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
 うんざりとした顔でスマホを操作し、電話に出ることなく切ってしまう。
 彼は私を見るなり先ほどとは打って変わって、おはよう、と柔らかな声で挨拶した。

「ちゃんと眠れた?」
「……はい、なんとか」
「それならよかった」

 寝起きの顔を見られるのは恥ずかしいけれど、朝起きて挨拶する相手がいるのは気分がいい。
 私も蓮さんも二人で寝室を出ると、それぞれ顔を洗って、私は一度自室に戻った。
 クローゼットから服を取り出し、一応来客があるかもしれないと綺麗めのワンピースに着替える。
 軽く化粧をし、髪も整えてリビングに出れば、彼が既に焼いたトーストを用意してくれていた。

「朝はコーヒー派? それとも何か別のもの?」
「えっと、コーヒーで大丈夫です」
「わかった」

 わざわざ彼がコーヒーの粉を取り出し、ドリップまでしてくれる。
 私は冷蔵庫へ向かうと、扉を開けて中身を確認した。

「中にあるもの、使ってもいいですか?」
「もちろん」

 ほぼ料理をしないと言っていたけれど、卵が少し残っている。
 彼がコーヒーを用意している間に、私は手際よく卵を溶くと、スクランブルエッグを作った。

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