御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「口に合うかわかりませんけど……」

 スクランブルエッグが好みかどうかは不明だけれど、焼いたトーストとコーヒーだけよりはいいだろう。
 ふんわりと火入れしたスクランブルエッグを、彼は真っ先に口に運んでくれた。

「うん、うまい」
「……よかった」
「こんなことなら、もっと食材を用意しておけばよかった。そしたら、もっといろんなものを食べられたのに」
「これから、たくさん作りますよ」

 彼に淹れてもらったコーヒーを飲み、トーストを齧る。自分で作ったスクランブルエッグもよくできていて、あっという間に食べ終わってしまった。

「片付けは私がします」
「あぁ、それなら、ここに入れてくれればいいから」

 彼がキッチンカウンターの下にある大きな引き出しを開ける。
 てっきり収納用の引き出しだと思っていたそこは、大きな食洗機になっていた。

「汚れがひどいとき以外は、そのままで問題ないから」
「わかりました」

 トーストから出た粉などは三角コーナーに落とし、皿を食洗機にセットする。使ったフライパンも入るのだから便利だ。
 スイッチさえ押してしまえばやることがない。彼が淹れてくれたコーヒーの余りを持ってソファーに座ったところでインターフォンが鳴った。

「誰でしょう?」
「あー……、たぶん両親だと思う」
「ご両親!?」

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