御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
 コーヒーを淹れ終わったのか、蓮さんが二つ分のカップを持ってくる。
 両親の前に置いたあと、次いで私の分も持ってきてくれた。

「お兄さんがいらっしゃるんですか?」
「そう、(らん)がね。もう子どもも生まれて、元気にやってるわよ〜。ただ、うちは蘭だけでは手が回らないから」

 私でも九条グループが手広く事業をやっていることは知っている。
 御景さんの後を仮にお義兄様が継いだとしても、細かなところまでは目が行き届かないだろう。
 九条グループにとって、蓮さんの存在も大切であることは容易に想像できた。

「俺は家を出て、ひとりで事業してるんだから関係ない」
「あら、立ち上げのときに手を貸したのは私たちよ? ねぇ、パパ」
「そうだなぁ……。金こそ出してはないが、コネとか、情報とかそういうものは手引きしたなぁ」
「…………」
「つまり、あなたひとりで全部やったわけじゃないってことよ♡」

 お義母様がにっこりと笑う。その笑顔には圧があった。

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