御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「あっ、君が蓮の奥さんなんだね! へぇ、蓮が本当に……。あんなに結婚しないって駄々こねてたのに」
「駄々はこねてない」
「似たようなものでしょ? はじめまして、九条蘭と申します。こっちは息子の楓で、四歳になります」
「かえでです!」

 ぺこっと小さな体で一生懸命お辞儀をする楓くんに、きゅんと心臓を射抜かれる。
 楓くんは蘭さんの手から離れると、靴を脱ぎ捨てて我先にとリビングに駆けていった。

「あ、おい!」
「今日は蓮の奥さんを見れてよかったよ。えっと……」
「星……、九条千尋です」
「千尋さん、蓮のことをよろしく。あと、うちの楓のことも」
「はい」

 蘭さんがにこりと笑う。一方の蓮さんは苦い顔でしっしっと蘭さんを追いやった。

「早く帰ってくれ」
「うん。じゃあ、楓のことは夜、迎えに来るよ」
「いや、楓も連れて帰れ」
「母さんから聞いてるだろう? 楓のことを見ててほしいんだ」
「なんで俺たちが……」
「雪も忙しくてね。家政婦に頼んでもよかったんだけどせっかくなら千尋さんに会いたかったし、楓も蓮の家に行きたいっていうから」
「れーんー!」

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