御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「うん、一緒に遊ぼっか」
「……うん!」

 子どもながらに強い力で手を引かれ、ソファーまで連れてこられる。
 いつの間におもちゃを引っ張り出してきたのか、ソファーには本やぬいぐるみまであった。

「これ、蓮さんが用意したんですか?」
「蘭が置いていったものもある」
「そうなんですね」

 彼の口ぶりだと、蓮さん自身も買い与えたものがあるらしい。
 楓くんは線路を繋げて電車を走らせたいとのことで、ひとりで廊下の奥に走っていくと、大きなボックスを引き摺りながら戻ってきた。

「これでつなげる!」

 たくさん繋げて大きくしてほしいと言われて、一生懸命レールの端っこを繋げていく。
 あとは任せたと去っていこうとする蓮さんに、楓くんは追いかけるやいなや、蓮もやるの! と再びおもちゃの前まで連れ戻してしまった。

「楓くん、これでどう?」
「もっと!」
「もう部品がないから、これ以上は大きくできない」
「え〜」

 もっと大きな線路をご所望なようで、楓くんがヤダヤダとぐずりだす。
 見かねた私は、線路の上に電車を乗せて、スイッチをオンにした。

「ほら、何台か走らせたら楽しいかもよ?」

 これ以上、大きくはできないけれど、電車をたくさん走らせることができる。
 そのうち端っこのレールを取り外した私は、繋がっていないその先にどんどんレールを足した。

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