御曹司の契約妻が本物の妻として愛されるまで
「ほら、こうやってどんどん継ぎ足せば、長く走れるよ?」
「かえでもやる!」

 どうやらこの遊び方がお気に召したようで、電車が追いつく前にどんどんレールを継ぎ足していく。
 最初こそキャッキャと遊んでいた楓くんだけど、疲れて飽きてしまったのか、今度はソファーで本を読みたいと言い出した。

「これよんで!」

 差し出されたのはイラストがたくさん描かれた童話だ。
 私は楓くんの隣に座ると、表紙を開いた。すると、なぜか彼も私の隣に座った。

「えっと……、蓮さんも読むんですか?」
「久しぶりに読むのも悪くないと思って」
「そう、ですか……」

 本の内容に興味があるとは思えないけれど、ぴったりと隙間なく近づかれると緊張する。
 声が震えないように一度大きく息を吸ってから、私は文字を読み始めた。

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