勘違い一夜から始まる極甘策士なドクターの激愛婚〜偽装結婚は旦那様の甘い罠でした〜
 そういえば、形成外科医にとってのカメラは、内科医にとっての聴診器のように必需品なのだと聞いたことがある。治療前の状態から手術の経過を記録するために欠かせないらしい。

 医療用カメラは電機メーカーが主に作っていて、その精度もかなり優れている。シェーレでは積極的に扱っていないので、芹澤先生がカメラを持っているのは意外だと思ったけれど、言われてみれば納得だ。

「じゃあ、プライベートではいつもカメラを持ち歩いてたり?」
「そうだね、撮りたい! って思ったときにすぐ撮るのが癖になってるかも。素敵な景色だなとか、いい表情だなとか、心が奪われる瞬間ってわりと日常にたくさんあるから」

 そんなふうに感じられることがまず素敵だと思っていると、彼はカメラをひょいっと持ち上げて言う。

「そう考えると、カメラって魔法の道具だよな。大事な瞬間を永遠に残しておける」

 ロマンチックな発言にちょっぴりときめく。たしかにその通りだな、と共感していたのに、「キザだね~」と自分にツッコむので思わず吹き出してしまった。

 芹澤先生はやっぱりおもしろい。こうやって話しているだけで楽しくなれるのは、彼の人柄のおかげだろう。

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