執愛滾る脳外科医はママと娘を不滅の愛で囲い込む
 それからすぐにシュシュの特徴を聞き、ふたりでデイルームの中を探し始めたのだが、なかなか見つからない。それでも必死に探す女の子の姿を見ていると、是が非でも見つけてあげたくなる。
(すず)ちゃん、ここにいたのね」と、女性の声が届いた。
 視線を向けると、青いスクラブを着た小柄な三十代くらいの女性がいた。
「あ、しばたせんせい……」
 どうやら彼女は、ここの病院で働く医師のようだ。
「鈴ちゃん、ここでなにしてたの?」
 先生がそう尋ねると、女の子は半べそになりながら口を開いた。
「シュシュをなくしちゃったの。そのおねえさんがいっしょにさがしてくれて……」
「そうだったのね」
 先生がこちらを振り向いて頭を下げてきたので、私も反射的にお辞儀を返す。
「鈴ちゃん、そろそろ検査の時間だから一旦病室に戻ろうか?」
「……いや。シュシュをみつけるまでここにいる」
 女の子が涙目になりながら、首を横に振る。
「先生もあとで一緒に探してあげるから」
 その後も先生が優しく説得を続けているが、女の子は頑なに拒んでいる。
「鈴ちゃん、私が探しておくから検査に行っておいで。シュシュを見つけたら、病院の人に預けておくから」
 なんだかいたたまれなくなり、とっさにそう口にしていた。
「いいの?」
「うん。だから検査をちゃんと受けてきて」
 頭を撫でながらそう言うと、やっと鈴ちゃんは首を縦に振ってくれた。
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