執愛滾る脳外科医はママと娘を不滅の愛で囲い込む

思わぬ再会

思わぬ再会

「パターン、生地、モチーフ、カラーリング、やっと部長からOKが出たよ」
「それはよかったです! すぐに仕様書に起こしますね」
 先輩スタッフから資料を受け取り、即座にパソコンを立ち上げた。
 私、柊瑠璃が勤めているここは、『ボーテ・エテーネル』というランジェリー会社だ。大学卒業後この会社に就職し、今年で八年目を迎える。商品開発部門に所属し、デザイナーとして働いていて、今は一か月半後に迫ったトランクショー、いわゆる新作発表会の準備で大忙しだ。
 私がこの道を目指そうと思ったのは、大学生の時。
 華奢で太りにくい体質と言えば聞こえはいいけれど、そんな私の最大のコンプレックスは胸が小さいこと。いわゆる貧乳だ。
 学生時代、みんなで海に遊びに行っても胸を強調するビキニなんてもちろん論外だったし、日焼けをしたくないからと適当な理由をつけ、水着の上からラッシュガードを羽織っていた気がする。
 これでも努力はした。牛乳を毎日一リットル飲んだり、SNSで見つけた育乳リンパマッサージをしてみたり。
 ありとあらゆる方法を試してみたけれど、どれも効果がなくてどれだけ落ち込んだか。
 胸の谷間は私には一生無縁なもの!
 ……結果、自分の中でそう結論づけた。
 そんな時、友人と何気なく立ち寄ったのが、ボーテ・エテーネルのショップだった。
 そこでかわいらしいデザインのランジェリーを見つけ、店員さんに勧められて試着してみたところ、その着け心地に感動し加えて夢にまで見た憧れの谷間まで手に入れたのだ。
 着けるものひとつでこんなにもスタイルが変わる、そして自信に繋がるのだと体感し、私はこの世界に進みたいと思った。
 そして無事に内定をもらい、二年ほど前からは新作製作チームに抜擢され、充実した日々を過ごしている。
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