執愛滾る脳外科医はママと娘を不滅の愛で囲い込む
え?
その人物の顔を見て思わず目を丸くしたのは、彼の容姿がモデルのように美しくて目を奪われたからという理由の他に、知っている人物だったからだ。
「担当医の寺原で……」
名前を名乗ろうとしたところで、向こうも私の素性に気づいたのだろう。
クールで感情の起伏があまりないはずの彼が目を見開く。
どうしてここに蓮斗くんが?
てっきり家業を継いでいると思っていたけれど、まさかお医者様になっていたなんて。
彼の名は、寺原蓮斗。
幼なじみで、ずっと私が憧れていた男性。そして、過去に酷い言葉で傷つけてしまった人だ。
「蓮斗、くん……?」
まさかこんな形で再会するとは。
あまりの衝撃に頭がついていかなくて、言葉が出てこない。
ただただ、向けられた切れ長の奥ぶたえの瞳を見つめ返すことしかできずにいる。
「時間がないから挨拶は省略するぞ」
淡々とした声にハッと我に返り、黙って頷く。すぐに蓮斗くんが椅子に座るようにと手で示してきたので、静かに腰を下ろした。
「瑠璃のお母さんは、脳梗塞を発症している。ちょうどここの部分、中大脳動脈に血栓ができて詰まっている状態だ」
パソコンの画像を見せられ、蓮斗くんが発症部位を指さす。
「脳梗塞?」
よくテレビなどで耳にする病名だが、まさか自分の母親が見舞われるなんて。
「……お母さん、助かる?」
心臓がさらに激しく打ち鳴る中、懇願するように蓮斗くんの返答を待った。
「点滴で血栓を溶かせば、助かる可能性は高い。だが、この処置が行えるのは、麻痺が起きてから四時間半までなんだ。それ以上、経過すると脳出血を起こすリスクがあるからこの処置は行えない。もうじきそのリミットだから、瑠璃に決断してほしい」
真剣なまなざしを向けられ、グッと奥歯を噛みしめる。
昔あんな酷いことを彼に言っておいて、今この状況で都合よく縋りつこうとしている私は、最低な人間に違いない。
それでも。
「……お願いします。母を助けてください」
もう二度と、大切な家族を失いたくはなかった。
自分勝手でごめんなさい。
「分かった。最善を尽くすよ」
優しい声色に胸が疼く。
遠い記憶が沸々と、そして鮮烈に蘇るのを感じながら。
彼に向かって深々と頭を下げ続けた。
その人物の顔を見て思わず目を丸くしたのは、彼の容姿がモデルのように美しくて目を奪われたからという理由の他に、知っている人物だったからだ。
「担当医の寺原で……」
名前を名乗ろうとしたところで、向こうも私の素性に気づいたのだろう。
クールで感情の起伏があまりないはずの彼が目を見開く。
どうしてここに蓮斗くんが?
てっきり家業を継いでいると思っていたけれど、まさかお医者様になっていたなんて。
彼の名は、寺原蓮斗。
幼なじみで、ずっと私が憧れていた男性。そして、過去に酷い言葉で傷つけてしまった人だ。
「蓮斗、くん……?」
まさかこんな形で再会するとは。
あまりの衝撃に頭がついていかなくて、言葉が出てこない。
ただただ、向けられた切れ長の奥ぶたえの瞳を見つめ返すことしかできずにいる。
「時間がないから挨拶は省略するぞ」
淡々とした声にハッと我に返り、黙って頷く。すぐに蓮斗くんが椅子に座るようにと手で示してきたので、静かに腰を下ろした。
「瑠璃のお母さんは、脳梗塞を発症している。ちょうどここの部分、中大脳動脈に血栓ができて詰まっている状態だ」
パソコンの画像を見せられ、蓮斗くんが発症部位を指さす。
「脳梗塞?」
よくテレビなどで耳にする病名だが、まさか自分の母親が見舞われるなんて。
「……お母さん、助かる?」
心臓がさらに激しく打ち鳴る中、懇願するように蓮斗くんの返答を待った。
「点滴で血栓を溶かせば、助かる可能性は高い。だが、この処置が行えるのは、麻痺が起きてから四時間半までなんだ。それ以上、経過すると脳出血を起こすリスクがあるからこの処置は行えない。もうじきそのリミットだから、瑠璃に決断してほしい」
真剣なまなざしを向けられ、グッと奥歯を噛みしめる。
昔あんな酷いことを彼に言っておいて、今この状況で都合よく縋りつこうとしている私は、最低な人間に違いない。
それでも。
「……お願いします。母を助けてください」
もう二度と、大切な家族を失いたくはなかった。
自分勝手でごめんなさい。
「分かった。最善を尽くすよ」
優しい声色に胸が疼く。
遠い記憶が沸々と、そして鮮烈に蘇るのを感じながら。
彼に向かって深々と頭を下げ続けた。