電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
そして、土曜日になった。
札幌駅の南口で待ち合わせをしている。
今日着ていく服は前日から選んでいた。
私はコットン生地の白いワンピースを着る。おしゃれに気合を入れすぎずに動きやすい格好を選んだ。
登場した副社長はスラックスと白いシャツを羽織っていてとても清潔。シンプルな服装だが似合っていて、まるで洗剤のコマーシャルでも見ているような気持ちになる。
「お待たせしました」
「私も今到着したところです」
優しい瞳で見つめられ、息が止まりそうになった。
このままだと彼の瞳に吸い込まれてしまいそうだと私は目をそらす。
「今日は……海鮮丼なんていかがですか?」
「北海道らしくていいですね」
そう言って、タクシーで市場まで向かう。その道中も会話が弾んでしまった。
「好きなアーティストが同じなんて、やっぱり僕たちは気が合うようですね」
「……はい」
自分の中で副社長への思いは膨らんでいても、やっぱり私にはもったいない人だとの考えがどうしても拭えない。
私が見つけていた海鮮丼はまだ雑誌などには掲載されていない穴場スポットだった。
肉厚の魚介類がどんぶりに何種類も載せられていて、副社長は満足そうで食べてくれた。
楽しい時間を過ごしているだけではいけないとわかっている。今日彼は私の答えを聞きに来たのだ。
食事を終えた私たちは、景色がいい無料の公園に行った。
ここからは札幌の景色を見下ろすことができる。
犬の散歩を楽しんでいる人や、家族連れ、カップルで賑わっていた。
他愛のない話をして時間を過ごしていたが、会話が途切れる。
副社長は私の答えを聞きたいはずだ。
自分から話を切り出す勇気もなく、うつむいていた。
「では、そろそろ……お返事をもらってもいいですか?」
隣に座っている副社長から優しい声が聞こえてくる。
「……はい」
体ごと横向きになり、副社長の瞳を真剣に見つめた。