電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
「副社長は立場があるのに勇気を出して気持ちを伝えてくださいました。副社長のような素敵な方がなぜ私なんだろうとずっと考えていたんですがその答えはわからず。私も自分の気持ちを考えて一週間過ごしてきました。胸にある感情は憧れなのか恋なのか。恋だったとしたら……私のような新入社員が副社長の隣を歩いてもいいのか……」
「いつも仕事では的確な答えをくれるあなたがこんなに迷ってくれているなんて。悩ませてしまってごめんなさい」
こんなときも副社長は優しくしてくれる。
「ではイエスかノーで答えてもらえますか?」
「わかりました」
「僕といて楽しいですか?」
「はい」
「恋人がいますか?」
「いいえ」
「ありがとうございます。ではもう一度湯元さんの考えを聞かせてもらえますか?」
副社長の気持ちを押し付けるわけでもなく、私に選ばせてくれるという大人の余裕すら感じられた。
もしここで断ってしまえば一生後悔するかもしれない。
結婚を前提に交際する道を選んでも、あまりにも身分差があるので苦労することもあるだろう。
それでも私は……
彼のことをもっと知りたい。いろいろな話をして時間を共有したいと強く願った。
「こんな私でよければ、副社長とお付き合いさせていただきたいです」
答えを聞いた副社長は柔らかい笑みを浮かべた。
そして手を差し出してきた。私はそっと彼の手に乗せて握手したのだ。
「ありがとうございます。大切にします」
恥ずかしいやら何やら、言葉では表せないような感情に包まれていた。
でも間違いなく、幸せでたまらない。
これから副社長とどんな未来を歩んでいくのか、素直に楽しみだった。
交際することになった私たちは、公園をゆっくり散歩した。
副社長がそっと手を伸ばしてくれるので私は恥ずかしいけれど手を握り返した。
大きくてしっかりとした手のひらだ。
手をつないで歩いていると恋人になったかのような気分になる。
恋人になったかのよう――ではなく恋人になったのだ。
これから私と副社長は、どんな人生を歩んでいくのだろう。