電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

恋人がほしいと考えていたこともあるけど、奥手だし、合コンとか参加したことないし、マッチングアプリとかも怖い。だから、交際し男女の関係になるなんて私には無縁だと思っていた。
人生どんなふうに転がっていくか予測不能だ。
「ただいま」
いい声が聞こえてきてビクッと振り返った。
髪の濡れた状態で、私と同じホテルのパジャマを着ている翔太さんが出てきた。どんな服装でも素敵なので参ってしまう。
私の隣に腰をかけた。
二人で少しだけアルコールを口にする。
「明菜は、毎日連絡ほしいほう?」
「そうですね、忙しいと思うので夜だけでも」
「了解」
私に合わせようとする心遣いがありがたい。気にかけて大切にしようとするのが伝わってきた。
「遠距離恋愛は寂しいな。でも、なるべく会いに来るから」
「はい。私も、会いに行きます」
部屋中に甘い空気が広がっていく。見つめ合うと翔太さんの顔がだんだんと近づいてきた。目を閉じる。
彼の香りがする。
私と同じシャンプーの匂い……。
それだけでも嬉しくて舞い上がった。
唇が重なる。
ファーストキスだった。
耳がちぎれてしまいそうなほど熱いし、全身の血液が沸騰していくみたい。
私の唇を食べるかのような口づけで、そのうちに口内に舌が入り込んできた。
肉厚でザラザラしていて、体の力が抜けていく。
大人なキスすぎて視界がぼやけてくる。
「ごめん、刺激的すぎたか?」
「いいえ。大丈夫です……。続けてください」
思わず口から出た言葉だったが、翔太さんは一瞬固まった。そして瞳の色が濃くなった。
「そんなこと言われたら、途中で止められないかもしれない」
「いいですよ」
なんで、こんなにも大胆な発言をしているの?
愛する人ともっと物理的にも近づきたいと思う。
こんな感情になったことはなくて自分でも信じられない。
「明菜」
自分の名前が特別になったかのようだ。
長い腕で抱きしめられた私は、彼の胸板に顔を埋めた。小鳥のように大事に抱きしめてくれる。
「翔太さん……んっ」
連続して甘い口づけをされるともう何も考えられなくなってしまった。
私は翔太さんのことを心から信頼しているし、これから二人で信頼を築いていきたい。
全て身を任せてもいい。
「急がなくていいから……。今日は同じベッドの上で眠らせてほしい」
初めての私を大切にしようと思ってくれている彼の心にも胸が打たれた。
添い寝しながらいい声で優しく話をしてくれる。
まるで子守歌を歌ってくれているかのような感じだ。
「明菜……柔らかくていい香りがする」
私のことを大切にしながら、少し甘えてくるところもギャップがあってすごく素敵だ。無理にはしない彼に安堵し、もっと深く安心した。
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