電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

応接室に案内されて中に入る。
すると――入社式で新入社員に向けて挨拶をしてくれた社長が立っていた。
しかし直接仕事をしたわけではなく、彼は私の顔を見ても自分の会社の社員だとは気づいていないようだ。
挨拶を済ませてソファに腰をかけた。
「どこで出会ったんだ?」
「実はうちの社員で北海道支社で働いてくれているんだよ」
「え?」
社長は目を丸くした。
出会いから恋に落ちたきっかけを話すと、そんなこともあるのかと反対を一切しなかったのだ。
「本当に運命的な出会いってあるのね。すぐに会社を辞めてしまわなければいけないのはかわいそうだけど、入社したというのはやっぱり運命なのよ」
お母様が瞳をキラキラ輝かせながらそんなことを言っている。
私は笑顔を作っていたけれど、すぐに会社を辞めなければいけないという言葉に引っかかっていた。
きっと早く入籍をして家庭に入ってほしいと両親は望んでいるのだ。
「母さん父さん、まだ交際を始めたばかりで。でも結婚は前提にしているからそこは安心してほしい。ただ明菜は社会人になったばかりだから少し社会人として勉強してから俺を支えたいと言ってくれているんだ。だから入籍のタイミングは……」
「そんなわけにいかないのよ。あなたには跡取りを残すという役目もあるの」
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