電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
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明菜――
彼女のことが大事すぎて、思わず給湯室で下の名前で呼んでしまった。
それを商品企画部の人間に聞かれたのだ。
おそらくそれがきっかけだったと思う。
明菜と副社長は深い関係だなんていう噂が広まった。
明菜はもう少し仕事を続けたいと話をしていたので、婚約していることは数少ない人間にしか口外していない。その人たちも会社にとって重役ばかりで、俺の結婚が影響を与えるところもあるので発表できるまでは内密にすると約束してくれていた。
明菜が新入社員にも関わらず、北海道支社の閉鎖をするために北海道での勤務に選ばれたのは、コネだったとか。俺と彼女の父親が親友だったとか噂が広がっている。
そうではない。
入社試験の結果も良かったし優秀な社員だからという理由で選ばれたのだ。
きっと彼女が今まで勉強し努力してきたからこそいい結果だった。
両親は、特に母は今すぐにでも結婚して家庭に入ってほしいと願っているようだが、明菜はキャリアを積んでいきたいと願っている。
俺は何よりも彼女の気持ちを尊重していきたい。
そうであれば、副社長と関わる仕事は極力避けてもらうべきなのではないか。
俺のそばで働いてもらうことで迷惑をかけているかもしれない。
彼女を正当に評価しているとわかってもらうためには、仕事上では距離を置くべきだ。
そう考えて、他の人に担当を変えてもらえるように検討すべきか?
どちらにしても全力で彼女のことを守っていかなければならない。
それに雑務が多いが、明菜は北海道と東京を行ったり来たりする生活をさせることになる。俺の仕事を他の人に振ることができれば、もう少し彼女の負担も減らせることができるのではないか。
業務について総務部長と相談することにした。