電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

   *

「副社長とやり取りしていただいている仕事は、他の方に引き継ぐことになりました」
総務部長が私に突然そのように告げた。
「そうですか……」
「他にもたくさんやることがあるので、引き続きよろしくお願いします」
本社で働くようになれば、自然と翔太さんの仕事をもっと手伝うようになるのかなと予想していた。
けれど実際は以前より距離を取られている気がする。
プライベートでは相変わらず優しい。
だからこそ仕事で何か問題があったのかなと不安になる。
それでもあまり考えないようにしようと思って毎日仕事に励んでいた。
しかし、今週になってはっきりとした変化があった。
いつも私が担当していた業務が他の人に引き継がれたのだ。
はっきりとした理由は告げられなかった。
新入社員という立場では、指示を受け入れるしかない。
――私の仕事のやり方は、翔太さんにとってやりづらかったのかな。
廊下を歩く彼の隣にはいつも秘書の中田さんがいる。
仕事ができて、しっかりとしていて、翔太さんによく似合っている。
憧れのような、嫉妬のような。
経験したことのない感情があふれ出していた。
気にしないようにしようとは思っていたけれど、胸がぎゅっと縮んだ。
彼の立場や家柄を思えば、隣に立つべき人は私ではないかもしれない。
そんな考えが、ふと頭をよぎる。
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