電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

ランチを終えて事務所に戻った。
パソコンの中のデータ整理をして、北海道に送った。
『来週戻ってくると思っていますよ。片付けなければならないものがたくさん出てしまったのでよろしくお願いします』
所長からそんなメールの返信があった。
事務所はどんどんダンボールだらけになっていくだろう。
しかし、北海道のメンバーに会えるのが少し楽しみでもある。
ただ――北海道に戻る前に翔太さんと話す時間を取ってもらって、自分の気持ちをしっかりと伝えたい。
どこかのタイミングでメールを送ろうと思ったが、やることが多くてあっという間に一日が終わってしまった。
気がつけば就業時間だ。
「湯元さん、急いでいることがなければ退社していいよ」
隣に座っている間宮さんが笑顔を向けてくれた。
「何かお手伝いできることはありますか?」
「大丈夫。私ももうすぐ上がれるから」
「そうですか。では、お先に失礼します」
今日も宿泊しているホテルに戻って後ほど翔太さんにメッセージを送ってみよう。
そんなことを考えながら廊下を歩いていると、翔太さんがこちらに向かってくるのが見えた。
突然の登場だったので心構えができていなくて、思わず目をそらしてしまった。
エレベーターの前に到着しボタンを押す。
だんだんと足音が近づいてきた。
――職場で謝るわけにもいかないし。
エレベーターのドアが開くと翔太さんも一緒に乗り込んできたのだ。
退勤時間だというのにエレベーターには他の人は乗っていなかった。
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