電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました

「仕事を辞めて家庭に入ってもいいと言ってくれたが、それは本心か?」
「はい。北海道支社のことが終わったら、私の会社での役目は終了です。そこまで精一杯社会人として学ばせてもらって少しでも成長できたらと思っています」
翔太さんは納得したようにうなずいた。
そして私のことを長い腕で抱きしめてくれる。
「決意をしてくれて本当にありがとう。きっと苦しんだに違いない。だけど絶対にこれからは幸せにするし、俺も明菜にたくさんの愛をもらうから」
「はい」
翔太さんは優しい瞳で私のことを見つめてきた。
手のひらで私の両頬を包み込んで至近距離で見つめてくる。
彼の瞳の中に私が映り込んでいて、彼の体温を間近で感じることができて、心臓がドキドキとしてきた。
それと同時に心と心が通い合った気がして、涙が浮かんでくる。
そしてついにポロリとこぼしてしまった。
「どうして泣く?」
「きっと幸せすぎるからです……」
「俺もだ。明菜は三月いっぱいで仕事をやめるから、正式な婚約者だと発表しようか?」
「いえ。今は会社が混乱してしまったら困るので退職するまでは秘密にしていてください」
「会社のことを考えてくれる。……最高の婚約者だ」
「そんなことないですよ」
「明菜。俺と結婚すると様々な噂を耳にすることがあると思うが、俺の言葉だけを信じてついてきてほしい」
「そうします」
< 58 / 68 >

この作品をシェア

pagetop