電話越しで恋をした副社長から、突然プロポーズされました
副社長が隣を歩いているなんて信じられない。夢を見ているのではないか?
「札幌の夜は寒いんですね」
「六月の朝晩は涼しいです。あの……大丈夫ですか? パフェを食べたらもっと体が冷えてしまうのでは?」
「心配してくれてどうもありがとう。体が冷えたら温めてもらおうかな?」
いつもより少し砕けた口調でさらに私の心臓がドキッとしてしまう。
もしかして、まだ若い私のことをからかっているのかもしれない。
黙り込んでいる私の顔を見て冗談ですよと笑っている。
私があらかじめ調べておいたパフェ屋さんに入店する。
人気店なので少し混んでいた。
カウンター席に並んで座り、ブランデーが注がれた大人のパフェを注文する。
「電話で話していたのと実際に会って話すのは、違和感はありましたか?」
副社長に質問されて私は首を左右に振った。
「それはよかったです」
むしろ実際に会って話したほうがもっと魅力的だったがそれは口に出さない。私の心で考えていることを知られてしまったらあまりにも恥ずかしい。
「お待たせしました」
パフェが二つ運ばれてきた。
「いただこうか」
口に運ぶ横顔を見つめる。所作が美しくて何時間でも見ていられそうだ。
なぜ今こうして二人きりでパフェを食べているのか理解ができていない。
「ここのパフェ、本当に美味しいですね」
「気に入っていただけて嬉しいです」
ゆっくりと会話をしているとだんだんと緊張がほどけていく。
甘いパフェのように私の胸の中はどんどんと甘くなっていく気がした。
でもこれはただの憧れなのか。
恋愛感情なのか――
自分でも理解できなくて困惑している。
ただ一緒に話をしていて楽しくてたまらないのだ。副社長も笑顔で話をしてくれる。
「そうでしたか。本当は企画の仕事をしたかったんですね」
「はい。自分が考えた企画の旅行でお客様が喜んでくれる姿を想像したら、魅力がある仕事だなと」
「いつも湯元さんは人のことを考えていますね。初めて出会ったときも困っている人を助けようと必死だった。仕事の人が喜ぶようにと考えていて、素敵だなと思います」
直球な言葉を言われて、一瞬呼吸が止まってしまった。このまま会話を続けていたら私の耳と心臓はドキドキしすぎて壊れてしまう。