【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
それでも、飲んだことに後悔はない。
リップを塗って、口紅を塗り直す。簡単にメイクを直して戻ると、一希は美雨に軽く手を振った。
「それじゃあ、マスター、また来ます」
「あ、私のお会計をお願いします」
「そちらの方が、お客さまの分も支払いましたよ。またのお越しをお待ちしております。よい夜をお過ごしください」
えっ、と目を大きく見開く美雨は、バッグを手にしたまま硬直した。
「わ、私の分……」
「付き合っていただくお礼だと思ってください」
小さく弧を描く一希の笑みを目にして、美雨は心臓がドキッと高鳴った。
(あ、そうか……似ているんだ、先輩と)
きっと先輩が大人になったら、こんな感じなんだろうな、とぼんやり考えながら、彼のあとをついていく。
「……ところで、本当にいいんですか? このまま俺と付き合って」
「……はい」
再確認されて、美雨は頬を赤く染めながら、小さく答えた。
一希はそっと手を伸ばして、美雨の手を取る。
彼の手が思ったよりも冷たくて、緊張していることがわかった。
一希の歩くままに美雨も足を進め、ついたのは立派なホテルだ。
なんのためらいもなくホテルに入っていく一希。ホテルのロビーにはいろいろな人がいた。
英語で話している人や、着物を着ている人、きっちりとしたスーツに身を包んでいる人……世の中、いろんな人がいるのだと改めて実感していると、受付の人からキーをもらった一希が「こっちだよ」とエレベーターまで案内する。
「……すごいホテルですね」
「そうだね。俺も初めて来たときは驚いたよ」
エレベーターで上階に向かい、美雨はまたびっくりした。