【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
美雨自身、会社員の頃に出張でビジネスホテルに泊まったことはある。
だが、こんなにも高層なホテルは初めてだ。
「最上階……」
「スイートルームだからね。空いていてよかった」
さらりと告げられた言葉が耳に届き、肩が跳ねた。
テレビで見たことはあるが、実際見たことはないスイートルーム!?
そんな場所に足を踏み入れようとしているのか、と今更ながらドキドキと心臓が早鐘を打つ。
「ここのスイートルームから見る夜景が綺麗なんだよ」
「……お得意さま、なんですか?」
「子どもの頃からね。両親がこのホテルを気に入って、たまに泊まりに来ていたんだ。女性を案内するのは、今日が初めて」
「えっ、意外です。一希さん、モテそうなのに」
そう? なんてはにかむ一希は、ほんのりと頬を赤くした。
エレベーターが最上階で止まり、扉が開く。
一希は軽く美雨の手を握り、部屋まで迷うことなく歩く。
(子どもの頃から、こんな豪華なホテルに泊まっているって、私とは全然違う世界に住んでいる人なんだなぁ……)
人生初めてのスイートルーム。どんな部屋なのだろうと期待を胸にして、部屋の扉の前に立った。
一希がキーカードを取り出し、差し込み口にスライドさせて鍵を開ける。
「どうぞ、入って」
扉を開けて、中に入るようにうながす。
「し、失礼します」
緊張して変に高い声が出た。そのことに羞恥心を感じながら、中に入り、リビングルームの扉を開けると――……。
キラキラと輝くような夜景が、視界に飛び込んできた。
言葉を呑んで口元を隠す。そうしないと、もっと変な声が出そうだったから。