【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


「こんなに愛らしいのだから」
「私が、愛らしい?」

 すかさず聞き返してしまった。そんなこと、言われたことがない。

 そんな言葉はすべて、妹の愛奈に注がれていたからだ。

「驚くことですか?」
「え? えーと……言われたことがなくて……」
「えっ、一度も?」
「妹が生まれるまでに言われたかもしれませんが、二歳くらいの記憶はないので……」

 覚えている限り、『可愛い』、『愛らしい』、『綺麗』、『見た目がいい』という褒め言葉はすべて、妹の愛奈のための言葉。

 愛奈は『ありがとう! 愛奈とっても嬉しい!』と愛嬌たっぷりの笑みを振りまき、周囲を味方につけていった。

 それに対し、姉の美雨へは『しっかりしている』、『愛奈ちゃんのこと大切にね』、『両親のことを助けてあげるんだよ』など、容姿のことは触れられずにいた。

 一度、親戚の中でもデリカシーがないことで有名な人から、『妹は華やかなのに姉は地味だねぇ』とケラケラ笑って言われたことがあり、愛奈は『お姉ちゃん、暗そうに見えるもんねー!』と同じく笑っていたことがあった。

 幼心はあの発言で傷つき、それ以来ずっと地味な装いのままだ。

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