【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
よくCMしている化粧品ブランドなので、美雨も知っている。
「いらっしゃいませ」
「おはようございます。この方に合うものをお願いします」
「えっ、一希さん?」
ポンと両肩に手を置かれ、ずいっと前に押されて目を何回も瞬かせた。
「愛らしい方ですね。お任せくださいませ」
にこっと微笑む女性――ネームプレートには『鈴木』と書かれている――は、美雨を化粧売り場の中央の席に座らせると、いろいろなものを取り出す。
「……わ、かわいい色」
「ブランドの新作なのですよ、このグロス」
鈴木は「失礼します」と美雨の肌の調子を確かめて、目を見開いた。
「普段、美容に気をつけていらっしゃいますか?」
「え? ええと、はい。肌によいことを、と思っています」
「素晴らしいです。とてもきめ細かい肌ですから、このままの調子でお過ごしください」
まさか美容部員に褒められるとは思わず、美雨は照れたようにはにかんだ。
「フルメイクでよろしいですか?」
鈴木が一希に確認すると、彼はこくりと首を縦に振る。
「では、失礼いたします」
にっこりと微笑んで鈴木は美雨に化粧をしていく。人にメイクをされたことなんて成人式以来だと、くすぐったい気持ちになりながら、鈴木の「目を閉じてください」や「本当に綺麗な肌ですね」という声を聞いていた。