【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


「終わりました。最初にお見かけしたときから思っていましたが、やはり化粧映えしますね」

 フルメイクを終え、満足したような笑顔を浮かべている鈴木は、「ご覧ください」と鏡を見るようにうながす。

「……これが、本当に私ですか?」

 そこに映っていた自分の顔に驚愕した。

「ほら、とても綺麗でしょう?」

 背後から声をかけられてビクッと肩を跳ねさせる。

 すぐ近くに一希がいることを忘れるくらい、美雨は自分の顔を呆然と眺めていたのだ。

「自分が自分ではない感じがします」
「あなたのポテンシャルの高さを実感したところで、使ったもの全部の会計をお願いします」
「かしこまりました」

 美雨は「えっ」と一希を振り返る。フルメイクにスキンケア用品もラインで使ったため、かなりの数を購入するつもりか、と彼の服の袖を掴む。

「どうして……」
「お礼ですよ」
「お礼?」
「帰るときに受け取るから、用意しておいて」

 鈴木にそう伝えると、美雨の手を取って立ち上がらせると、今度は別のフロアに移動した。

 百貨店にはいろいろな人がいて、質のよさそうな衣服を身にまとうマダム、スーツをビシッと着こなしているビジネスマン、ブランド品を眺めている女性、腕を組んで歩いているカップルや夫婦……その誰もが、優雅に見える。

 心に落ち着きがある、ように感じたのだ。

 ブランドファッションの店に着くと、「母へのプレゼント、どれがいいと思う?」と尋ねられた。

「そうですね……一希さんのお母さまは、どんな方でしょうか?」
「専業主婦でね、普段は家のことを嬉々としてしているよ」

 与えられた情報に美雨はうーん、と悩む。専業主婦に贈るのなら、どんなものがいいだろう? と。
 趣味もあるだろうし……と思考を巡らせていると、ふとあるものが視界に入った。

 チェックのストールだ。ブランドものだからか、美雨がよくいくファストファッション店よりも質がよく見える。

「こういうのはどうですか?」
「ああ、この色合い、母が好きそうです」
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