【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
「こんなに買ってもらうなんて……」
「いえ、一回やってみたかったんですよね、こういうの」
清々しいほどの笑顔を浮かべる一希。美雨は意外そうに彼を見上げた。
「それと、これからちょっとカフェに付き合ってほしくて」
「カフェ?」
「そう。ちょっと離れるけれど、女性客が多いカフェでね。ひとりで入る勇気がなくて……」
「ああ、男性ひとりだと入りづらいですね、それは……」
女性客の中に一希が入ったら、きっとその人たちの目を奪うだろう。
そんな中ゆったりとした時間を過ごせるわけもないと思い、格好いい人は格好いい人なりに苦労が多そうだと苦笑した。
「いいですよ、付き合います」
「よかった。じゃあ、十分くらいだから歩きでも構わないかな? 新品の靴だと歩きづらい?」
「いえ、このパンプス柔らかい素材でできているので、歩けます」
じゃあ、と一希が腕を差し出す。
おずおずと腕を組むと、本当の彼氏彼女のように思えて不思議な感覚になった。
一希は美雨の歩くペースに合わせてくれているようで、彼の足の長さからは考えられないほどゆっくりとした歩調だ。
歩き始めて約十分後、カフェに着いた。テラス席も中の席も女性客が主で、この状況で男性ひとりはきついだろうな、と心の中でつぶやいた。
カフェに入ると、すぐに店員が席に案内してくれた。女性客たちの視線が一希に集まっていたが、彼は気にしていないようだ。
(このスルー力があれば、入れるのでは?)
なんて一瞬考えてしまったが、軽く頭を左右に振ってその考えを吹き飛ばす。
窓際の席に案内され、椅子に座ると備え付けてあるカゴの中にバッグを入れる。一希も持っていた荷物をカゴに入れた。