【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


「愛奈が食べるかどうかは、謎だけど……」

 ぽつりとつぶやいてから、美雨は苦々しく笑った。

「ちょっと休憩してから、料理を始めようかな」

 買ってきた食材を冷蔵庫に入れて、エコバッグを丁寧に折りたたみもとの場所へ戻す。

 片付けの基本はものの住所を決めること、と祖父から教わった。

 美雨の結婚式以降、祖父は驚くべきほどの回復力を見せた。

『孫を見るまでは死ねん!』

 と言って、健康に気をつけて過ごしているようだ。

 もしも自分に一希との子ができたら、きっと祖父は可愛がってくれるだろう。たっぷりの愛情を注いで、大きな手で撫でてくれるだろう。

 美雨は静かに自分の腹を撫で、顔を赤らめた。

(子ども、かぁ。一希さんは、どう思っているのかな)

 美雨との子どもを望んでくれるのだろうか、と不安がよぎる。

 この結婚は、美雨を助けるためにしてくれたことだと思うから。

 それでも――美雨は、一希に惹かれている。

 彼のことをもっと知りたい、もっと傍にいたい、自分だけを見てほしい――そんな欲望が美雨の中に渦巻いていた。

「人の欲望って、キリがないのかも……」

 大切にしてくれているのはわかる。ただ、そんな想いを抱いたのは、一希が初めてだった。
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