【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


 今まで付き合っていた人には、ただなんとなく『好きだなぁ』というふわふわとした想いだけで、そのうち愛奈に盗られてしまった。

 それもショックだったが、すぐに立ち直れた。

 もしも一希が他の彼氏たちのように愛奈を選んだら――そう考えるだけで、心臓が凍りそうになる。

(大丈夫だって、信じたい)

 一希が愛奈を選ぶことなく、自分だけを傍に置いてくれたら――そこまで想像を巡らせて、美雨は額に手を置いた。

(ダメね、こんなことを考えちゃ……一希さんに失礼よ)

 自分の考えを封印するように箱の中に入れるイメージをして、ぎゅっとガムテープでぐるぐる巻きにし、心の奥底に沈める。

 大丈夫、と小さくつぶやいて美雨は料理をするためにキッチンへ向かった。

 エプロンをつけて、しっかりと手を洗ってから無水鍋を取り出す。

 鍋に買ってきた手羽元を入れ、水と醤油、黒酢と紹興酒、みりんを入れて蓋をする。火にかけて蓋の隙間から湯気が出てくるまで待つ。

 湯気がもあもあと出たら、火を止めて蓋を開ける。ふわっといい匂いが鼻腔をくすぐり、ふっと表情を和らげた。

 シリコンスプーンで上下をひっくり返してから蓋をする。これで夜まで放置すれば味が染み込んでいるだろう。
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