【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
他にも下準備を始める。愛奈は洋食が好きだから、キッシュの材料も買ってきたのだ。
冷凍パイシートで作るキッシュなので、簡単に作れるもの。
これはすぐにできるので、愛奈が来てからでもよさそうだ。
あとはなにを作ろうかと悩みつつ、美雨はただ料理に没頭していた。
一通り作ってから、美雨はリビングのソファに座った。すでに夕方だ。なにかをしているあいだは、なにも考えなくて済むので夢中になれる。
スマホが鳴り、視線を落とすと一希からのメッセージだった。慌ててメッセージの内容を確認すると、『ケーキ買うね。なにがいい?』という内容で、美雨は口元に弧を描いた。
こうして気遣ってくれる一希の心が嬉しい。
『お任せします』
短い返事をすると、すぐに『わかった』とこれまた短い了承の言葉がきて、美雨はスマホから視線をそらした。
「愛奈、本当に来るのかしら……」
妹からの連絡は、あれ以降なかった。それから三十分もしないうちに一希が帰ってきて、ケーキの入った箱を持ち上げた。
「どれがいいのか迷っちゃって……」
「ありがとう。冷蔵庫に入れておくね」
「うん」
ケーキの箱を受け取り、美雨は冷蔵庫にそっと入れた。このケーキを穏やかに食べられるといいな、と思っていたが――現実は、そう甘くないようだ。
愛奈が来たのは、十九時半を過ぎてから。
「ごめーん、ちょっと遅れちゃったー!」
チャイムを連打した愛奈は、悪びれる様子もなく、ケラケラと笑っていた。