【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
「一希さんに失礼なことをしたら叱ります」
「……いや、美雨が叱らなくてもいいよ。ただ」
「ただ?」
「俺がどんなことを彼女に言っても、許してくれる?」
目をパチクリと瞬かせた。いったいなにを言うつもりなのだろう、と。
「俺を信じてね」
「……はい」
こくりと首を縦に動かし、美雨と一希は料理をテーブルに運んだ。美雨がいろいろ作ったものだ。
「わ、相変わらずおばあちゃんっぽいのもあるー!」
きんぴらごぼうや筑前煮、漬物を指して肩を振るわせる愛奈。一希はコホンと咳払いをした。
「美雨、たくさん作ってくれてありがとう。どれもおいしそうだよ」
「ありがとう。たくさん食べてね」
労わるように肩を優しく叩かれ、美雨は笑みを浮かべた。
愛奈はそれを見て、つまらなそうに唇を尖らせて「もー、お腹ぺこぺこなんだけどー?」と刺々しい声を出す。
「じゃあ、いただこうか。いただきます」
「えっ、おにいさんってそういうの言っちゃう人なの!? 意外!」
両手を合わせた一希に対し、愛奈は目を丸くした。
「そりゃあね。そういうきみは言わないの?」
「言うわけないじゃん」
ケロッと答えて、愛奈は美雨の作った料理を食べ始めた。文句を言っていた割には、きんぴらごぼうや筑前煮に箸を伸ばしている。
食事中は、重い空気が流れた。和やかだとは思えない時間を過ごし、食べ終えると食器を下げて一希が買ってきたケーキを冷蔵庫から取り出す。
「わぁ、ケーキ?」
背後から声をかけられて、美雨は肩を跳ねさせた。
「そんなに驚かなくてもいいじゃん。それにしても、やっぱりおにいさん、いい男ねー」
くすくすと鈴を転がすように笑う愛奈は、目を吊り上げて美雨を睨みつける。
「こんなに冴えないお姉ちゃんより、私のほうがおにいさんと釣り合うと思わない?」