【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!


 一希を想うと胸が温かくなる。愛情を注いでも返してくれなかった家族とは違い、彼は美雨に想いを返してくれる。

 電車が目的の駅に着いたので、美雨は降りて待ち合わせの場所まで駆け足で向かう。

 そこで――まるで雑誌の表紙のような一希を見つけ、一度足を止めてしまった。

「ねー、あの人って最近テレビで見る人じゃない?」
「本人かな、そっくりさんかな?」
「声かけちゃう?」
「やめとけー、腕時計をチラチラ確認してるってことは、待ち合わせっしょ」

 女性たちの会話が聞こえ、一希をじっと見つめると、彼は確かに時計を気にしていた。

 ――その相手が自分だなんて、いったいどれくらいの人が思うだろうか。

「彼女を待っているのかな?」
「いーなー、あんな彼氏だったら連れて歩きたーい」
「なに言ってんの、あたしたちとじゃ月とスッポンよー!」

 ケラケラと笑う声が、美雨の心をちくりと刺す。

(月とスッポン、か……)

 それはきっと、自分も同じだ。

 美雨は大きく深呼吸をしてから、一希に近づいていく。

「一希さん!」
「美雨」

 待ち合わせの時間の五分前。

 一希は美雨を見つけるとにこりと微笑み、腕を差し出した。

 その腕に手を絡め、ふたりは映画館へ歩き始める。

 いろんな視線を感じたが、美雨は気にしないことにした。
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