【完結】美容系開業医とワンナイト後結婚したら、溺愛されました!
少しの間沈黙が続いたが、「……帰ろうか」という一希の言葉が降ってきて、美雨はこくんと小さくうなずく。
握っていた手は一瞬するりと離れ――すぐに指と指を絡める手の繋ぎ方に変わり、美雨と一希は顔を朱色に染めたまま、駅まで黙って歩いた。
家に着いてリビングに向かう。
誰もいなかった家はひんやりとしていたから、まずは暖房をつける。
ルームウェアに着替えてリビングに戻ると、一希の姿が視界に入った。
「……一希さん。ちょっとだけでいいので、夫婦の会話を、しませんか」
「気になることもあるだろうからね」
――美雨は自身の胸元を掴んだ。ふわふわのルームウェアの感触に心が和み、ゆっくりと一希の前に立った。
一希は美雨の手を取って、ソファへ移動し、自分が腰を下ろすと美雨を見上げる。
どうやら座るようにうながしているようだ、と思っているとぐいっと腕を引っ張られ、一希に抱きつく形になった。
それからソファの上で横抱きの形になり、「重いでしょう」と一希から離れようとすると、ぎゅっと抱きしめられて動けない。
「さっき、佐々木が言っていたことなんだけど……派手な人には心当たりがある」
「……そう、なんですね」
思わず敬語になってしまった。一希がどんな人と一緒にいたのかと考えると、心臓がヒヤリと冷たくなる感覚がして、声のトーンが落ちてしまった。
すぅ、と小さく息を吸って、吐息とともに告げられた人物を聞いて、美雨は目を丸くした。