二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
* *
車を走らせてしばらく。
ダグラスが乃亜を連れてきてくれたのは、S字にくねる河川が美しい川岸だった。周囲は低い草の生えたなだらかな河川敷がある。
「わぁ……!」
もちろん観光客の類はいない。
名を知らない小さな水鳥が水面を大人しく泳いでいるような、夢の中でしか見られないような優麗な場所。もっと遠くに視線を移せば、高らかな山脈が悠然とそびえている。
道と呼ぶには心許ないが、誰かが頻繁に使っているらしい道筋が細く水辺の芝生に沿って続いている。
「少しあそこを歩いても大丈夫ですか?」
「どうぞ。そのつもりだったよ」
ふたりは静かにその小道を歩きはじめた。
いつだっただろう……曾祖母春子が語ってくれたのは。
ウィリアムとふたりきりで、ひと気のない川べりを歩いた思い出の話。
まだ幼かった乃亜は、その物語をうっとり羨ましく聞いたものだ。
──月が綺麗だと言って愛を告白したウィリアムのこと。その真意に気づけなくて、月に嫉妬した春子のこと。
当時、曾祖母は今の乃亜より数年若かった。
ウィリアムも、今のダグラスよりひと回り若かっただろう。でもあの頃は時代が違うし、感覚的には今の乃亜たちと同じような立ち位置だったかもしれない。
ふたりで小道を進みながら、乃亜はちらりと隣のダグラスに視線を向けた。
(このひとはどこまで知ってるのかな……ウィリアムはどこまで話したんだろう。とりあえず『ハルコ』の名前だけは教えていたみたいだけど)