二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
一時間もしないうちに、コトコトと煮込まれる野菜と牛肉の香りがキッチン……ひいては家全体に広がりはじめていた。
乃亜は自分の仕事の出来栄えに満足して、味見のために大きな鍋からお玉でソースをすくって口に入れようとしていた……そのとき。
玄関から、背の高い男性が入ってきた。
乃亜はお玉を口に運ぼうとしていたところだったので、振り返れずに玄関に背を向けたままでいた。ただ、横目でカウボーイハットを手に持っているのが確認できたので、当然ダグラスだろうと思って安心していたが──
「今晩はまたすごい旨そうな匂いがするな、ホセ! またいつもの豆料理じゃなくて、なにかまともに食えるものを作ったのか?」
まったく別の男性の声で、乃亜は驚いてお玉を持ったまま振り返った。
「きゃあっ」
「ぅわ!」
お玉に乗っていた赤ワインソースが、ぱしゃっと飛んで乃亜の胸元にかかる。驚いたのは乃亜だけではなくて、相手も同じだった。
おそらく年代はダグラスと変わらない……そして恰好もほぼ同じ……でも圧倒的に雰囲気の違う金髪と青い瞳の男性が、そこにはいた。
「す、すみません、驚いてしまって……つい大声を」
「どうして謝るんだ。まさか君みたいな子がここにいるとは知らなかったよ。今晩はホセが調理係だと思っていたんだ。コテージの方の従業員かい?」
「いいえ……。その、ウィリアムさんと……ダグラスさんの知り合いで……少しお手伝いを」
「はあ?」
この牧場に着いてからこのかた、ホセ以外では無口で硬派なダグラスとしか交流がなかったから、なんだか新鮮な気分だ。
外見もダグラスとはまた種類の違う、明るいタイプの美形カウボーイさんだった。
身長もダグラスよりは少し低いが、十分長身の部類に入る。
コロラドには一体どんな秘密があるんだろう? なにか地元の水に特殊なミネラルでも入っているのだろうか? こんな長身美形ばかり生み出すとは……。