二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
お世辞はありがたかったが、いくつか聞き捨てならない言葉があった。この男性の話しやすい雰囲気のせいもあって、乃亜は素直に疑問を口にした。
「どうしてダグラスさんの彼女のわけがないと思うんですか?」
思わず詰め寄ってしまい、男性との距離がさらに縮む。
でも答えが知りたかった。
「もしダグラスの彼女になりたいと思っているなら、やめておいた方がいいよ」
「なぜ……ですか?」
「あいつは生涯独身を誓っているから、かな。恋人さえ作ろうとしない。若い頃は少々遊んでいたこともあったけど、遥か遠い昔の話だ。多分その誓いを破る気はないと思うよ。頑固だから」
乃亜はなぜかダグラスのために反論したい気持ちになって口を開きかけたが、結局言うべきことが見つからずに唇を引き結んだ。
──誰も愛さないと言っていたのはダグラス本人だ。愛してはいけない、と。
落胆が顔に表れていたのかもしれない。
まだ名前も知らない金髪碧眼のカウボーイは、身長差を埋めるように前屈みになった。
「そんなに落ち込まないで……。別に世界の終わりってわけじゃないだろう」
「落ち込んでなんていません。ただ、どうしてなのかな……と思って」
「さあね。でも面倒くさいダグラスなんて放っておいて、俺にしておけばいいんじゃない? 俺の名前はね──」
と、息が掛かりそうな距離に彼の顔がきたとき、玄関が再び開いた。
「ネイト、彼女から離れろ」
乃亜は玄関に顔を向けた。
そして息を飲んだ。
視線だけでひとを殺せそうな目つきのダグラスが、そこに立っていた。