二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ダグラスの目線は真っ直ぐ乃亜の胸元に向けられている。
不思議に思って彼の視線の先に自分でも目を向けてみると、ネイトと呼ばれた金髪カウボーイの手がぴったり胸元に張りついていた。
いや、正確にはアイスパックがあるので直接ではないけれど、遠くから見れば完全にネイト氏が乃亜の胸を触っている図だろう。
なぜか、乃亜は自分がいけないこと──まるでダグラスを裏切るようなこと──をしてしまった気がして、後ろに退いた。
「おっと」
ネイトはそれを阻止するように乃亜の背中に片腕を回した。もしかしたら乃亜が転ぶと勘違いしたのかもしれない。
とにかくダグラスは驚くような速さで乃亜とネイトの間に到達した。
「なんだよ。新しい同僚に挨拶しているだけじゃないか」
と、ネイト。
声色こそ苛立ちを装っていたが、顔は完全に笑っていて、この状況を面白がっている。
「彼女は従業員じゃない。客だ」
対するダグラスの答えは、鋭い目つきと同じくらい危険な響きでネイトを威嚇していた。そう、威嚇。
動物がするあれとまったく同じ響きをしていた。
「じゃあ客に料理させてるのか? とんでもない野蛮人だな、ダグラスさんよ」
「違います! わたしがやりたいって申し出たんです。ミスター・マクブライトは強制したりしませんでした」
まだ状況がわからないけれど、なにか争っているなら乃亜はダグラスの味方をしたい。
そう意気込んで弁護したつもりだったのに、ダグラスは乃亜をぐいっと彼の背後に押しやった。
「君は黙っていてくれ、ノア」
そんな!
もちろんカウボーイ同士の威嚇のし合いに乃亜が勝てるとは思わないけれど、少しくらい加勢させてくれてもいいのに……。