二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~

「ノアって言うんだ? いい名前だ。俺は──」
「ノア、この男はネイト・モンゴメリー。うちの牧場の乗馬インストラクターだ。ネイト、こちらはミス・ヒロセ。親父の古い知り合いの娘さんだ。お前が手を出していい相手じゃない」

 ネイトの自己紹介を遮って、ダグラスがそう口早に説明した。
 これまでダグラスは決して早口で喋るひとではなかったので、乃亜はちょっとこの男性の可能性に驚いた。その気になれば達弁になれるひとなのだ。

「ウィリアムの知り合い? それはタイミングが悪くて大変だったな。せっかく来てくれたのに……その、入院中で」
 おそらく、長くはない、というような発言をしそうになったのだろう。
 でもネイトは表現を曖昧に濁した。
 答えようがなくて乃亜はただ静かに小さくうなずいた。

「そんなわけで、親父が目を覚ますまで、彼女は俺の責任で面倒を見ている。今晩ここで飯を食いたいなら、シャワーでも浴びてその悪臭を落としてからにしてくれ」

 ダグラスはそう言ってネイトを一旦追い出そうとした。ネイトは「えー」などと文句を言いつつ、自分のわきの下を嗅いで顔をしかめ、そして笑った。

 ──責任……。
 そうか、責任。そうだよね。
 あの笑顔や優しさに片鱗に、それ以上の意味なんかないんだ。
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