二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「……テーブルのセッティングを手伝うよ」
乃亜の質問をはぐらかしたダグラスは、キャビネットから皿やカトラリーやコップを出してダイニングテーブルを調えはじめた。
それもまた、ダグラスのような男性がやってるのを見るのは……控えめに言っても目の保養だ。乃亜は今日まで自分は時代にそぐわないくらい身持ちが硬いと思ってきた。心も体もそう簡単には誰にも落ちないと。でも、意外とチョロかったのかもしれない。
──考えてみなさい、あなたにはウィリアムの血が流れているのよ。
一度落ちてしまったら永遠だ。
抗えない……たとえ叶わない恋でも。
気がつくとテーブルはセッティングされ、乃亜の料理はできあがり、日は落ちはじめていた。ダグラスは食前にビール瓶を一本開けて、正面のウッドデッキに出るとゆっくり呑んでいた。
「君は?」
半分開いた窓から乃亜がそれをのぞいていると、ダグラスは誘ってくれた。
「わたし、ビールはあまり……。さっき少しワインを味見でいただいちゃったし。勝手にすみません」
「ワインがいいなら新しいのを一本開けようか?」
「いいえ! そんなにお酒に強くないんです。もし他に呑むひとがいればどうぞ。多分、料理には合いますので」
「……毎回、君には驚かされるよ。冷却水も知らない世間知らずなバレリーナかと思えば厩舎を完璧に掃除して、その上シェフなんだな」
乃亜は笑った。「知ってたんですか?」
「は?」
「まだ料理長ではなくて一般の料理人ですけど。英語でいうクックですね」