二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
ああ、なぜ。
なぜこんなふうに心臓を鷲掴みにされたような苦痛を胸に感じるのだろう。
ある夏の日の午後、フォードのポンコツレンタカーに乗って現れたダグラスの天使は、すでに彼の心を散々に乱している。
乃亜が最初にスプリング・ヘイブン牧場へ続く道で立ち往生しているのを助けたときから、ダグラスはすべてに半信半疑だった。
──この女は本物なのだろうか? なにかの夢か、ダグラスの妄想の産物では?
広瀬乃亜はそういう種類の、少し世間離れした雰囲気を持つ女性だった。
いわゆる絶世の美女かと問われたら、おそらく違う……おそらく。もちろん間違いなく美しい……もしくは可愛い……顔をしている。のちにバレエ云々により納得した小鹿のような華奢な体型と、ピンと伸びた背筋、そしてほっそりとした首筋から肩にかけての線は煽情的だ。アジア人にしては薄めの肌と髪の色……しかし黒い瞳はつぶらで、神秘的だった。
その乃亜は『ハルコ』にそっくりだという。
──疑っていて悪かったよ、親父。
俺があなたでも、同じ道を選ぶかもしれない。ダグラスはそんな自覚に溺れていった。