二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
「……だってさ。ダグラスさんよ、このネイトさんとゆっくり休もうじゃないか」
年老いた悪魔のような姑息な笑みを浮かべながら、ネイトは今晩二本目のビール瓶をあおってそう言った。ダグラスは椅子に座り直した。
「お前はもう帰れ」
「でも誰かがノアをキャビンまで送るべきだろう。俺がやるよ。なかなか好意を寄せてもらえたみたいだし」
さすが調理のプロである彼女は、ダグラスに説明を受けるまでもなく食洗機を器用に使いこなして、どんどん皿洗いを進めていく。
その後ろ姿は……まともに機能する下半身を有する人間の男なら、間違いなくなんらかの居心地の悪さ……もしくは、よさ……を誘われずにはいられない。それは当然ネイトも同じで、妙な角度に首をかしげながら乃亜の尻を凝視していた。
「うわっぷ!」
ダグラスは手元のカップの水をネイトの顔にかけた。
「その目をくり抜かれたくなかったら、さっさと帰れ」
「いい加減にしろ、ダグラス! 今晩の俺は完璧に紳士だったはずだ。見るくらいいいだろうが!」
「『明日から俺の乗馬レッスンに来るかい』? 『プライベートでも教えてあげられる』? 紳士の意味を叩き直してもらいにママのところに帰りな」
ネイト・モンゴメリーはここから車で半時間ほどの両親の牧場に住んでいる。
その敷地内に小さな独身男の家を建てて生活していた。スプリング・ヘイブン牧場に働きにきているのは、ネイトの両親の牧場は食肉用牛の飼育が主で、馬の飼育はほとんど扱っていないからだ。
ちなみにネイトはモンゴメリー家の三男で、ダグラスのふたつ年下の三十三歳で、弟のような存在だった。