二度目の永遠~ある夏にコロラドで見つけた牧場主との運命の恋~
月の輝く夜に
あれだけ暑い一日だったのに、夜になってみると外は過ごしやすかった。少なくとも東京の夏の夜のような蒸し暑さはない。
近いようでいて遠い星空が、幾千、幾億もの煌めきを放ちながら乃亜の頭上に広がっている。
昨夜はフクロウの一件で夜空を見つめる余裕はなかったけれど、今は。
今はもう……。
「わざわざ送ってもらわなくても大丈夫ですよ。ひとりで戻れます。本当にすぐそこですから」
マクブライト邸を出てキャビンに戻ろうとする乃亜の後ろに、陰気な顔をしたダグラスがのっそりとついてくる。
ネイトにそうしろと念を押されたからだろう。だからこそダグラスには、この不必要な役目を無理にしてほしくなかった。
それでなくても微妙な立場である自分を、さらにぬかるみに突き落とすような真似はしたくない。
本音を言えば、たとえ一分の距離でもダグラスと一緒にいられるのは、嬉しかったけれど。
「距離くらいわかってるよ」
ダグラスは憮然と告げた。
「──それでも、暗闇に君をひとりで帰すわけにはいかない。また殺人現場にでくわすかもしれないし」
「はは」
ジョークのつもりなのか言い訳なのか、それとも彼自身に言い聞かせているのか。真意ははっきりしなかったけれど、それこそたった一分の送迎をいつまでも遠慮しているのも馬鹿らしい。
ふたりは一緒に外に出た。
光の灯っている邸宅から少し離れると、そこには息を飲むような夜空が待っていて、乃亜とその隣を歩くダグラスを包む。